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MOVO導入企業が話す物流の効率化を進める過程で意識すべきこと

 MOVO FORESIGHT 2020の最後に行われたセッションでは、実際にMOVOを導入している企業の担当者が登壇し、本気で物流に取り組んでいるリアルな現場の声について語る内容となった。トラック車両の予約受付、入出荷の共有、動態管理や配送ルートの効率化など、MOVOの提供するサービスには、物流現場で抱える課題を解決するためのソリューションを備えている。とかく、多くの企業が関わるサプライチェーンの中では、個社最適化を図るのではなく「鳥の目」のように全体を俯瞰して見なければ非効率であることは、本カンファレンスを通して伝えてきたことだ。
 DX推進を掲げ、実際に取り組むにあたり、企業はどのようなスタンスで臨めばよいのか。また、導入するにあたって現場とのコミュニケーションを行う上でどのようなことに注意すればよいのか。 MOVO導入企業を代表して、株式会社LEOC上席執行役員 商品本部経営企画・販売促進部/海外商品部部長の畑 裕之氏、アスクル株式会社 執行役員 フューチャープラットフォームアーキテクチャ ECR本部 プロキュアメント 統括部長の桜井 秀雄氏、花王株式会社 SCM部門ロジスティクスセンター センター長の山下 太氏、株式会社LIXILビバ 執行役員 SCM統括部長 兼 物流部長の大崎 勝啓氏らが、意見を交わした。

いつ起きるかわからない自然災害のために、物流の見える化は欠かせない

株式会社LEOC上席執行役員 商品本部経営企画・販売促進部/海外商品部部長 畑 裕之氏

株式会社LEOCは社員食堂や老人ホームなどの施設での給食事業を主軸にビジネスを展開してきた。同事業における物流センターは全国に10ヶ所、サテライトは30ヶ所を有し、納品先のクライアント施設は約2300ヶ所に上るという。畑氏は自然災害の影響により、物流に大きな打撃を受けたことがきっかけで「物流の見える化」を意識するようになったと話す。
「昨今に見る大型地震、台風による大雨や強風などの自然災害は物流にも大きな影響を与えます。交通が混乱し、電話が繋がりにくくなってしまい、配送状況が把握できない事態に陥りました。クライアント先の欠食の危機を免れるため、弊社スタッフが折りたたみコンテナを持ち、電車で食材を配達することでしのぎましたが、配送状況がリアルタイムに把握できればもっと手立てを打てると感じたのです」

自然災害は突如として起こりうる。猛威を振るうほどの自然の力は、最早抑えようがなく、いかに対策を講じ被害を最小限にするか考えなくてはならないだろう。
「取引先との連携や、施設納品までの食材流通の見える化をし、リスクヘッジすること」の実現を目指した畑氏は、フードサービス事業で培ったノウハウと経験から、「食」の効率的な物流を統合的に遂行する「felix Innovators Factory」を設立した。
「今までの納品伝票や受領書、検収書などの紙ベースの帳票伝票をペーパーレス化し、アナログな作業を軽減することで、ドライバーが輸送業務に専念できる環境を整備しました。また、現場で働く方々の安否を確認できる仕組みや、誰でも即顧客対応ができるように顧客情報をリアルタイムに管理するシステムを作り、食材流通に関するあらゆる課題をデジタルで解決する取り組みを行っています」「食」の効率的な物流を実現するために、様々なソリューションを展開し、働きやすい環境作りを行ってきた畑氏。そのシステムの一翼を担うのが、GPSをトラックに車載し、動態管理を行う「MOVOスティック」だ。全国に広がる物流網を使い、1日50万食を届けているという同社は「輸送を行うトラックが今どこにいるのか。また、遅滞はないのか」を可視化し、配送状況をリアルタイムで把握する必要があったという。「いきなりアナログな管理方法をデジタルに移行すると言っても、現場には浸透しません。関係各社への啓もう活動を行い、MOVOの機能による不安解消を図ったり、社長自ら各センターを行脚して説明したり。なぜMOVO導入をした方がいいのか、中長期的な視点から物流オペレーションの効率化に繋がることを丁寧に伝えていくことを心がけました」

現場への浸透は根気強く、折れないこと

アスクル株式会社 執行役員 フューチャープラットフォームアーキテクチャ ECR本部
プロキュアメント 統括部長 桜井 秀雄氏 

アスクルの桜井氏は、物流の重要性について「社名、かつブランド名である 『アスクル(明日来る)』 を支える重要な役割である」とした上で、なぜ物流の自社化を進めているかについて話した。
「Amazonや楽天に代表されるEC企業の競争が激化し、大競争時代となっている今、物流力が競争力の源泉となることでしょう。このような背景から、テクノロジーを活用して『物流を自社化』することで、オペレーションのコスト減による利益増や顧客の利便性向上による売上増が期待できます。出荷やピッキング、梱包周りはデジタル化が進んでいる一方、入荷や検品周りのアナログ運用を解決したかったので、MOVOによるバース管理導入を決めました。そのおかげで、入庫車両の受付・作業状況が見える化し、庫内作業の効率化を図ることができ、関西の主力物流拠点であるAVC関西では、トラックの平均待機時間が平均で1/3に減少し、入荷生産性も処理行数が10%増という成果を出すことに成功しました。今後は全センターに導入を行い、さらなるデジタル化を推進していく予定です」MOVO導入の決め手となったのは、低コストでスモールスタートできるため、導入ハードルが低かったという。そこで、まずはAVC関西で取り組みをしている物流改革プロジェクトの一環として、MOVOによるバース管理を実験的に取り入れた経緯がある。
「マネジメント層はDXを推進するための覚悟を持つこと。同時に、関連部門の共感や理解が不可欠で、MOVO導入にあたり、延べ数千名のドライバーに直接説明を行いました。浸透させるためには、導入するだけでななく、しっかりと現場へ伝えることを根気強くやっていくことが大切です。当初想定していた車両待機時間の削減はもとより、入荷の生産性自体が向上したことはとても大きな収穫でした」

株式会社LIXILビバ 執行役員 SCM統括部長 大崎 勝啓氏(左)

対して、全国にホームセンターを100店舗展開するLIXILビバの大崎氏は、MOVO導入当初に「現場への説明会をおろそかにしてしまい、運用が混乱した」と語った。「人材不足と輸送増による高コスト化が課題になっている中、経営戦略としては大都市圏への積極的出店や高成長していけるホームセンターモデルの確率を目指していました。経営戦略とSCMを絡めて考えていき、いかにしてセンター能力の拡大をし、輸配送の効率を高められるかが重要な施策と捉えていました。ホームセンターは日用品から建築資材、住宅設備など大きさや重さ、形状の違う商品を扱いますので、入荷と仕分けの作業効率化を目指しました。しかし、MOVO導入直後は現場に意図していることが伝わっておらず、全くソリューションを生かしきれていませんでした。そこで、バース管理によってできる入荷スケジュールの可視化データをもとに、納品時間の設定や人員の配置などを最適化し、一から見直すことで、徐々に現場がスムーズに回るようになりました」

経営幹部が現場まで下りてきてDXの理解を浸透させる

花王株式会社 SCM部門ロジスティクスセンター センター長 山下 太氏 

花王の山下氏は、同社の掲げる「ホワイト物流」を推進すべくサプライチェーンの見直しを図る取り組みついて述べた。「グループ全体では、事業戦略にESGの視点を導入し、社会のサステナビリティへの貢献をするために動いていますが、ホワイト物流もその流れで推進しているプロジェクトです。深刻なドライバー不足による物流危機を乗り越えるためには、配送過程で発生する『ムダ・ムリ・ムラ』をなくし、持続可能な物流へと変えていかなければなりません」
国交省が発表した卸売業配送件数の調査によれば、2005年は1120万件に対し2015年には1325万件へと増加しているという。このことからドライバーの拘束時間が長くなり、労働環境の悪化に繋がり、ドライバー数の減少に拍車をかけている。抜本的な見直しを図り、計画的な現場運営による生産性向上や、ドライバーの作業環境改善を行うためにMOVOの予約管理を導入したと話す山下氏。 「MOVO導入前は、トラック1台当たり平均約70分の待機時間が発生していました。特定の時間に車両が集中してしまうことで、拠点の入出荷能力が追いつかないことが原因でした。この課題を解決するために、あらかじめ運送会社別に時間帯の予約上限台数を決め、前日に作業スケジュールを確定させるような運用に変えたところ、待機時間は5分に短縮し、実に90%以上の削減に成功しました」
予約枠を設けることで、ドライバーは拠点で無駄に待機することがなくなり、空き時間を有効活用できるようになったという。さらに、拠点側も台数に応じた適切な人員配置計画を立てられるので、入出庫作業の効率化に繋げられる。MOVO導入を浸透させ、DXを推進していくために工夫している点については次のように説明した。
「運送会社向けの専用マニュアルを作成して予約業務を支援することはもちろん、システム導入によって現場の運用方法が変わるため、現場作業者やドライバーへの情報共有の徹底は注力しました。さらに、経営幹部が現場に来る機会を設けることで、導入を促すきっかけ作りができたと思います。今後はスマートロジスティクス実現のために、社内外のサプライチェーン資源と「モノの流れ」を最適化し、共創をテーマに取り組んでいきたい」

また、会場からは実際にMOVO導入に際しての質問で「個社最適として非常に進んでいる企業が登壇されていると思うが、本日のテーマでもある全体最適という観点はどう考えているか」という問いが投げかけられた。
これに対して、畑氏は「物流会社の視点で見ると部分最適に陥り、委託先からのネガティブな意見が出ていた」と苦労した点を述べ、その状況をどう打開して浸透させたかについてはこう説明した。「委託先の物流会社様によっては、既に別のシステム導入をしていて、カニばってしまうのではという意見が出ていました。そこで、我々LEOCのためだけではないことを説明し、物流会社における納品オペレーションの標準化や食材の受発注のルール化をMOVO導入により実現できること、またMOVOのシンプルなユーザビリティはドライバーの負担を減らすことを伝えていきました。足元では部分最適になってしまうかもしれないが、中長期で見れば全体最適となり、業務効率化に繋がることを訴求し理解を得られるよう尽力しましたね」 ソリューションを導入し、マネジメント側がDXを積極的に推し進めても、肝心の現場が理解していなければ省人化や生産性向上には寄与しないだろう。現場とのコミュニケーションがいかに大事かが伝わってくるセッションであった。テクノロジー活用による物流改革が進めば、顧客・自社・社会それぞれ「三方良し」が実現できるのではないだろうか。

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