COLUMN
更新日:
執筆者:佐藤 健次

目前に迫る物流の「2024年問題」、物流マネジメントの重要性

2019年の新型コロナウイルスの感染拡大以降、人々のライフスタイルが大きく変化したことで、オンラインショッピングや宅配などの需要が急増し、人手不足が叫ばれる物流領域にも大きな影響をもたらしました。今後は、人が介入しない省人・自動オペレーションの需要が高まることが予測されます。

そこで今回は、コロナ時代を経て見えた物流領域の課題と、今後の物流マネジメントの重要性についてご紹介します。

コロナ時代を経て見えた物流領域の課題と解決策

新型コロナウイルスの流行によって、物流領域にはさまざまな課題が浮き彫りになりました。

  • 物流量変化への柔軟な対応
  • 人手不足
  • ロケーションフリー時代における対応

1.物流量変化への柔軟な対応

新型コロナウイルスによる規制や制限により、物流量には大きな変化が生じました。
飲食店や観光業など、直接的に新型コロナウイルスの影響を受けた業界では需要が減少し、それに伴い物流量も減少しました。

一方で、物流量が増加したのは食品や医薬品の製造・流通業界、オンラインショッピングや宅配サービスを提供する企業などが挙げられます。

国土交通省のデータによると宅配便の取扱量は2020年度において全体で48億3,600万個となり、新型コロナウイルス以前である2019年の43億700万個から5億3,000万個以上も増加しています。
新型コロナウイルスによる外出自粛などの影響で人々は、自宅で過ごす時間が増えました。「巣ごもり消費」や「巣ごもり需要」とも呼ばれ自宅にいながら必要な商品を非接触で購入しようとする消費者行動が、ネット通販の利用を急激に増加させました。
今後も物流領域はこのような需要の変化に柔軟に対応することが求められます。
物流量の変化へ柔軟に対応するための解決策として、物流のルートや配送方法の見直し、従業員の適切な配置など、迅速かつ柔軟に対応できる仕組みの構築が重要なポイントになります。

引用:「令和3年度宅配便等取扱実績関係資料

2.物流領域の深刻な人手不足

物流領域は、新型コロナウイルス流行前から、深刻な人手不足が問題視されていました。
先述の通り、先述の通り、新型コロナウイルス流行での宅配貨物の取扱量は大きく増加しています。需要が増加する一方で人手が足りず物流量の増加に対応するためには、さらに多くの労働力が必要になります。

人手不足が深刻化している背景として、低賃金や長時間労働といった厳しい労働環境が人材確保の障害になっていると指摘されています。厚生労働省の資料によると、運輸・郵便業の所定外労働時間の長さは、全産業の中で最も長くなっているのが実情です。
労働力不足は、労働者の負担を大きくするだけでなく、生産性やサービス品質の低下につながる恐れがあります。

企業が取り組むべき解決策は、労働環境の改善や働き方の見直し、新たな労働力確保など、人手不足解消に向けて多角的な対策を講じる必要があります。
他にも、人工知能(AI)やロボット技術の導入により、作業を自動化できるものは積極的に取り入れていくことも重要なポイントです。

3.ロケーションフリー時代における対応

物流はこれまでも、今後の生産年齢人口の減少に備えて、自動化・デジタル化の動きを進めてきました。今回の新型コロナウイルスの流行により、もう1点、よく考えなければならないものが加わるのではないかと想定しています。それは「ロケーションフリーの働き方の普及による消費地の大きな変化」です。
新型コロナウイルスにより、多くの方々が会社に行かず、テレワークでも仕事ができることを証明しつつあります。

これが可能になると、生活費が高い都市部で仕事をするのではなく、住環境として優れる地方都市で仕事をするというスタイルの方が飛躍的に増えていくのではないかという仮説を持っています。都市部への人口の集中が止まり、受け入れキャパシティが十分にある地方都市で、多くの日本人がより豊かな生活を送るようになるという希望的な仮説です。
物流はモノを届けることがスタートラインであるため、これによる影響は非常に大きくなることが考えられます。

企業が取り組むべき解決策は、物流センターの規模、輸送動線という物流ネットワークを根本から見直すこと。つまり都市部の物流を縮小させ、地方都市の物流を充実させることが必要になってくるのです。

例えば、働き手が減る都市部では、空きビルを物流センターとして活用するような変化が想定されるでしょう。地下鉄でモノをビルまで運び、ビルからドローンで配送するようなことも将来可能になるかもしれません。これが緩やかに起こることだとしても、物流としてはそのような変化に対応できる体制をとっておくことが大切です。

物流マネジメントの重要性

物流マネジメントとは、コストを最小限に抑えることを目的とした経営戦略のひとつです。製品やサービスを提供するために必要な物流活動を計画・実施・監視することで、効率的で効果的な物流システムを確立します。

物流マネジメントのカギはやはりデータ化・デジタル化の推進です。新型コロナウイルス流行の初期にトイレットペーパーの品切れパニックが起こったことは印象的な出来事でした。日本全体における在庫量を把握・提示することが難しく、正しい情報を発信することができなかったことが原因と言えます。これは氷山の一角に過ぎず、物流でデータ化できていない領域は数多く存在します。データ化・デジタル化を加速すること、それらのデータを活用できる物流人材を育成することが今後の物流領域における課題です。

物流マネジメントに向けた物流DXの推進

物流DXとは、デジタル技術を活用して物流業務の改善や革新を試みる取り組みです。
物流領域は従来から紙や電話・FAXなどのアナログな手法で業務を行ってきました。デジタル技術を活用することによってこれまでの業務フローを効率化し、より迅速かつ正確な物流業務を実現することが可能になります。
物流DXを推進するメリットは、大きく“業務効率の向上”と“コスト削減の実現”の2点です。

業務効率の向上

物流DXによって、物流業務の効率が大幅に向上します。

・自動化による効率化:物流センター内の作業や運送業務において、自動化技術を導入することで作業の効率化が図れます。 例えば、自動運転技術を採用した自動運転トラックにより、運転時間の短縮や労働力の削減が実現されます。

・IoTによる可視化:IoT(Internet of Things)を活用して、物流センター内の在庫管理や商品の配送状況をリアルタイムで可視化することができます。 これにより、在庫切れや配送先への最適なルートの自動検索で配送遅延を防ぐ等、作業効率を向上させることができます。

・AIによる予測精度の向上:AIを活用することで、需要予測や在庫管理などの作業を高精度に行うことができます。

・RPAによる業務の自動化:RPA(Robotic Process Automation)を活用して、請求書や納品書などの書類処理や、商品の棚卸し作業などを自動化することができます。 これにより、労働力の削減や必要な情報を迅速に共有することができるので作業時間の短縮が実現されます。
以上のように、自動化や可視化、AIやRPAなどの最新技術を活用することで、作業効率の向上が期待されます。

・物流DXツールによる業務効率化:物流業務の効率化を実現する方法として、トラックドライバーや運送会社が事前に入庫時間を予約することで混雑緩和を実現するバース管理システムの導入や、位置情報から車両を管理する動態管理サービス、トラックの配車手配や管理ができる配車案件管理サービスなどがあります。Hacobuが開発・提供する物流DXツール「MOVO」についてご紹介します。

▼トラック予約受付サービス「MOVO Berth

荷待ち・荷役作業時間を削減し、物流センター運営におけるコスト削減と生産性向上を支援する、シェアNo.1のツールです。

▼動態管理サービス「MOVO Fleet

自社はもちろん、協力会社も含めた車両の一括管理を実現、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。

▼配送案件管理サービス「MOVO Vista

電話・FAXベースの配車手配やアナログな配車組みをデジタル化し、業務効率化やデータ活用による物流コスト削減を実現します。

コスト削減の実現

物流DXによって、業務効率の向上から人件費以外にもさまざまなコストの削減をすることが可能です。
例えば、物流業務においては在庫管理が非常に重要です。在庫が増えるとストックコストがかかり、在庫が不足すると商品の供給ができなくなるので、在庫最適化が求められます。 DXによる予測分析技術を活用することで、需要予測を正確に行い、適切な在庫量を把握することができます。
また、物流業務においては運送に必要な燃料費も大きなコストになります。物流DXによるルート最適化技術を活用することで、配送ルートを最適化することができ、燃料費用を削減することが可能です。DXの推進によって業務の自動化や効率化が進み、人件費等のコスト削減が実現できると期待されています。

本記事では、データ化・デジタル化の加速と、DXを推進する物流人材を育成の育成の重要性についてご説明しました。「DX化を実現したいがどのように進めたら良いのかわからない」、「自社に最適なソリューションがわからない」という物流担当者様へ、Hacobuが物流DXを一気通貫でサポートします。

人手不足、高齢化、物流コストの上昇といった物流領域の課題の解決するソリューションを提供しています。

物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援するソリューション

物流DXコンサルティング〜Hacobu STRATEGY〜のサービス資料はこちらからダウンロードいただけます。

物流コンサルティングサービス Hacobu Strategy

著者プロフィール / 佐藤 健次

Hacobu執行役員CSO。アクセンチュア株式会社において、サプライチェーングループのコンサルタントとして、数多くの改革プロジェクトをリード。その後、ウォルマートジャパン/⻄友にて、eCommerce SCM、補充事業、物流・輸送事業、BPR(全社構造 改革)の責任者を歴任。ウォルマートジャパン/⻄友の物流責任者として、各国のリーダーおよびパートナーと物流革新を推進。

この記事が気に入ったら
「いいね」しよう!

RELATION

TAG

トラックGメンに関するWhite Paper

SEARCH