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専門家コラム

author : 佐々木 太郎

新型コロナウイルスがデジタルを加速させる

新型コロナウイルスの経済へのインパクトは予測できない。起こりうるシナリオの幅を理解することが重要だ。

手元にいくつかのコンサルティングファームの新型コロナウイルスの経済に与える影響と企業の対応策についてまとめたレポートがある。楽観的なものは2021年には経済は回復(ただし2020年のGDPの落ち込みは甚大)、悲観的なものは2024年まで経済は回復しないという見方である。どちらの見方が正しいのかを考えることにあまり意味はないと思っている。そのような振れ幅がある、ということを理解することが重要であり、どちらのシナリオにおいても対応をできるようにしておかなければならない。未来の予測は不可能であるから、起こるかもしれない未来の分岐点を定義し、その分岐点のかけ合わせによるいくつかのシナリオを想定する。そして各シナリオが現実的になったときにどうするかという戦略と、現状どのシナリオになる可能性が高いかを判定する先行指標を規定する。同時に、どのシナリオにも共通してとるべき戦略を規定する。このようなアプローチを「シナリオ・プランニング」と呼び、元々は第二次世界大戦で米国空軍によって開発され、企業戦略策定のアプローチとして1990年代から使われてきたが、現在のような将来の不確実性が高い状況においてとても有効なアプローチだ。

起こりうるシナリオの中で共通して起こることは何か?それはデジタル化だ。

新型コロナウイルスのインパクトに関する楽観・悲観シナリオ、それぞれに共通して対処しなければならない事は何か。例えば、楽観シナリオでも2020年のGDPの落ち込みは甚大であり、それに対する手当は共通して対処しなければならない。また、どちらのシナリオでも2年間はソーシャルディスタンスをとらならないと言われており、いかに人々の接触を減らしていくか、は重要なテーマだ。そのような共通テーマの中で、特に重要なのが、デジタル化の進展だと考えている。

様々な産業領域において、デジタル化が必須であり、ここ数年、各社共通の経営テーマとなってきていることは異論がないと思う。様々な企業がChief Digital Officer(CDO)を設置し、事業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)をいかに実現するか、が経営テーマの主軸に置かれるケースが多くなってきた。しかし、DXの検討はするものの、現状からの変化の痛みの大きさ(あくまで想像上の)と思い切った投資の費用対効果のロジックが作れずにDXに踏み切れない企業が多かった。そのような状況に対して、今回の新型コロナウイルスが、世の中のデジタル化を否応なしに一気に進める、というのが世界共通の考え方になってきている。下の画像は今ツイッターで多くシェアされている画像だ。Who let the digital transformation of your company? (会社のデジタルトランスフォーメーションをリードしたのは誰だ?)

下の画像も、ツイッターで多くシェアされている画像である。Digital transformation is years away. I don’t see our company having to change anytime soon. (デジタル・トランスフォーメーションはまだまだ先の話。うちの会社はすぐ変わる必要なんてないよ)と言っている人がいる建物を、コロナの鉄球が破壊しようとしている絵だ。

https://marketoonist.com/2020/04/digital-transformation-2.html

日本も例外ではない。緊急事態宣言によってリモートワーク要請がでたことにより、多くの企業でリモートワークを実施し、商談もウェブ会議で行うことが当たり前になってきた。医療の世界では、時限措置ではあるが4月13日から初診でのオンライン診療が可能になっている。時限措置とはいうものの、オンライン化しても問題ないということが実証されれば恒久措置になる可能性がある。教育の世界でもオンライン学習が加速している。それまではデジタル化の必要性を理解はしていたものの、現状を変更することのコストを乗り越えられずにデジタル化できていなかったものが、一気にデジタル化してきている。黒船来襲によって近世から一気に近代化した変化に似ている。新型コロナは、新しい形の黒船だ。そしてある意味、日本全体でデジタル化のPoC(Proof of Concept. 実証実験)を行っているようなものだ。このPoCによって、デジタル化への移行が問題ないことが実証されれば、一気に世の中が変わる可能性がある。

さらに、国もそれを意識している。3月31日、自民党が安倍首相に提出した「緊急経済対策第三弾への提言」の中にも、新型コロナウイルスが落ち着いた後の中長期的な対策として以下のように記している。「デジタルガバメントやキャッシュレス社会の実現、スマートシティの推進、その前提となる安心安全な5Gインフラの早期全国展開など、経済社会活動を可能な限りデジタル空間に移行する『デジタル遷都』に取り組むこと。」新型コロナウイルスという黒船襲来を契機に、社会の仕組を一気に変えていこうという意思を感じる。後から今を振り返ったとき、「あのコロナショックが世の中のデジタル化を一気にすすめて、世の中変わったよね」ということになるはずだ。

ロジスティクスのデジタル化はどうなる?もちろん加速する。

Hacobuでは、創業以来5年に渡って、ロジスティクスのデジタル化が必要であると主張し続けてきた。5年前の2015年は、まだまだ昔からのアナログなやり方で十分であるし、デジタル投資を正当化するロジックが見つからない、という意見が多かった。その風向きが変わってきたのがこの2年ほどだ。発端は物流クライシスであり、ドライバー不足問題が大きな社会問題になり、合わせて働き方改革に起因するホワイト物流政策が、それまでの勘と気合と根性というやり方を見直す契機となり、デジタル化推進が進んできた。Hacobuの提供しているMOVO FleetやMOVO Berthもこの2年間の利用者数の増加はその前とは大きく異なるし、先般発表したMOVO SeekやMOVO Vistaへの問い合わせも5年前では考えられないほどだ。このようなロジスティクスのデジタル化は、新型コロナウイルスによるインパクトによりどのように影響を受けるだろうか。

結論から言うと、ロジスティクスのデジタル化のスピードは加速する、と考えている。個人的には、社会の大きな変化に対して、ロジスティクスだけ乗り遅れさせてはならない、と気合がさらに高まった。世の中は不確実性であふれている。新型コロナウイルスが出る前も、米中対立が大きな不確実性をもたらしていたし、AI等の技術革新による既存産業の破壊も不確実性をもたらしてきた。そして、今回の新型コロナウイルスは世の中の不確実性を一層高くしている。そのような不確実性の時代において、ロジスティクスはどのように対応するべきか?その解がデジタル化だと考えている。不確実性の高い状況でロジスティクスを維持するには、状況の変化に柔軟に対応するアジリティ(機敏さ)が重要になる。アジリティを高めるためには、状況を把握しなければならない。ロジスティクスの現場もさることながら、ロジスティクス全体を俯瞰して把握し、問題があるところはドリルダウンして解析し、作戦を練り、実行をしていく必要がある。そのためには、データが必要だ。現場の状況が、現場だけでなく、中央でも見えてなければならない。紙や帳票、メールにあるアナログ情報を集計して分析していたのでは、スピードが遅いし正確性も欠く。そしてそもそもそれに対応する人の工数が確保できずに実行できない。デジタル化は、第二次世界大戦で言えばレーダーだ。日本軍はレーダーを軽視していた。状況把握で負けていた。情報を制するものは戦いを制す。この不確実性の高い世界を生き抜くために、ロジスティクスに関わる各社にレーダーを備えていただきたい。そしてHacobuはそれを、最大限サポートさせていただく。

著者プロフィール / 佐々木 太郎

Hacobu代表取締役社長CEO。アクセンチュア株式会社、博報堂コンサルティングを経て、米国留学。卒業後、ブーズアンドカンパニーのクリーブランドオフィス・東京オフィスで勤務後、ルイヴィトンジャパンの事業開発を経てグロッシーボックスジャパンを創業。ローンチ後9ヶ月で単月黒字化、初年度通年黒字化(その後アイスタイルが買収)。食のキュレーションEC&店舗「FRESCA」を創業した後、B to B物流業界の現状を目の当たりにする出来事があり、物流業界の変革を志して株式会社Hacobuを創業。

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