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物流領域・トラック輸送における「脱炭素」、必要な取り組みや最新事例を紹介

近年、気候変動に対する懸念とともに、企業の持続可能性への取り組みが急速に加速しており、これには物流も例外ではありません。物流は、トラック、船舶、航空機などの輸送手段に依存しているため、大量の温室ガス排出が発生します。そのため、物流領域において脱炭素に取り組むことは、気候変動への対策にとって重要といえます。しかし、一言で脱炭素といっても具体的にどのような取り組みを行えばいいのかわからない、という方も少なくないのではないでしょうか。そこで本記事では、物流領域の脱炭素への取り組みの現状や課題を踏まえ、物流領域における脱炭素の最新事例についてもご紹介します。

脱炭素とは

「脱炭素」とは、社会活動における温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO2)の排出を削減し、実質的にゼロにするという概念です。これは地球温暖化問題への対策として重要であり、そのために化石燃料の使用を減らし、再生可能エネルギーの使用を増やすなどの施策が求められます。また、エネルギーの効率的な利用や、CO2の吸収源として森林などの自然環境の保全も重要な要素です。国や企業、個人の日常生活に至るまで、広範な分野での取り組みが必要な課題となっています。

2020年10月26日、当時の菅内閣総理大臣が所信表明演説において、日本が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。1990年代以降に環境問題や気候変動の関心が高まる中で、持続可能性や温室効果ガス(※1)の排出削減に関する概念が発展してきたことで、カーボンニュートラルという概念が浮上しました。 カーボンニュートラルという概念が広く認知されるようになったのは環境や気候変動に関する国際的な議論や取り組みが進展した2000年代以降です。現在では、多くの企業や政府がカーボンニュートラルを目指す声明を発表し、炭素排出削減やカーボンオフセットに取り組むことが求められています。

また、菅内閣総理大臣は2021年4月の地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく。」と表明しています。 物流領域における脱炭素とは、炭素排出量を削減し、環境への負荷を低減することを目指す取り組みです。物流領域においては、運送や配送に伴うトラックや船舶などの輸送手段、倉庫や物流センターのエネルギー使用、包装材料などの要素によって大量の二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガスを排出しています。

排出物は気候変動に寄与し、環境への悪影響を及ぼす可能性があるため、これらの炭素排出量を削減し気候変動や環境への悪影響を軽減することを目的としています。

(※1) 温室効果ガス/ CO2の排出と吸収でネットゼロを意味する概念
引用:第1部第2章はじめに │ 令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)│ 資源エネルギー庁

カーボンプライシングとは

脱炭素社会の実現に向けて有効な手段のひとつが「カーボンプライシング」という方法です。「カーボンプライシング」とは、企業などの排出するCO2(カーボン、炭素)に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法です。その中で主流となるのは炭素の排出に直接税金(炭素税)や排出権価格(排出量取引制度)が課せられる明示的カーボンプライシングです。

①炭素税

現在、日本の炭素税に該当する地球温暖化対策税の税率が289円/t-CO2であるのに対して、EU内で最も高い炭素税率のスウェーデンでは約16,800円/t-CO2と税率に大きな差があります。 今後、日本においても炭素税(地球温暖化対策税)が強化されることは確実といえそうです。 しかし、仮にEU最低水準の3000円/t-CO2程度が物流領域にも適用された場合、トラック輸送(自家用、営業用あわせ)にかかる炭素税は総額2,300億円程度となり、1台当たり1.6万円の年間炭素税がかかることになります(営業用トラックのみが対象とされた場合にかかる炭素税は総額1,270億円程度、1台当たり10.5万円の計算)。

②排出量取引制度

排出量取引制度(Emissions Trading System, ETS)は、温室効果ガス排出削減を目指した市場メカニズムのひとつです。この制度では、政府や国際機関が各企業や産業セクターに対して一定の温室効果ガス排出枠(排出権)を割り当てます。 企業がこの枠を超えて排出を行おうとすると、市場から他の企業や組織から排出権を購入する必要があります。逆に、割り当てられた枠よりも排出量が少ない場合、余剰分の排出権を市場で販売できます。この取引を通じて、排出権の価格(=CO2排出の価格)が形成されます。 排出量取引制度の目的は2つあります。1つ目は、全体の排出量を一定の枠内に抑えること。2つ目は、排出削減による経済的なインセンティブを提供し、効率的な排出削減を促進することです。 また、この制度は企業が最小限のコストで排出削減を達成できるよう設計されており、それぞれの企業が自社の事情に合った最も効率的な排出削減策を選択できるというメリットがあります。 物流の二酸化炭素排出は非常に大きな問題であり、全世界の排出量の大部分を占めています。そのため、物流における排出量を削減することは、地球温暖化防止にとって非常に重要な課題となっています。 しかし、物流領域においては排出源が多岐にわたり、また国際的な取引が多いため、排出量取引制度の導入には多くの課題が存在します。 現時点では、物流領域に排出量取引制度が適用されるかどうかは、具体的な制度設計や国際的な合意が必要で、それがなされているというわけではありません。それでも、物流自体が、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの導入、最適な配送ルートの選択などを通じて、自主的にCO2排出の削減を進めている事例は増えています。

脱炭素の今後の動き

地球温暖化の影響が拡大する中、脱炭素の取り組みは一層重要な課題となり、今後も一層加速することが予想されます。具体的には以下のような動きです。

1.政策・規制の強化

多くの国々が気候変動を抑制するために、国際的な約束を定めています。例えば、パリ協定では、地球の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2℃以下に抑えることを目指すという目標が定められました。これに向けて、各国は炭素排出を削減するための政策を進めています。具体的には、排出量上限設定、カーボンプライシングの導入、再生可能エネルギー利用の促進などが挙げられます。

また第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)では「化石燃料からの脱却」を成果文書に盛り込む「歴史的な合意」(欧米メディアによる表現)を得て閉幕しました。物流に関わるところでは、ゼロエミッション車などの導入を加速することで合意形成されました。

日本では2023年2月に、「成長志向型カーボンプライシング構想」等の実現・実行を含めた「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました。「成長志向型カーボンプライシング構想」の具体的施策には、「排出量取引制度」の本格稼働(2026年度~)や、「炭素に対する賦課金」制度の導入(2028年度~)等が含まれています。

2.技術の進歩

再生可能エネルギーの技術が急速に進歩しており、風力や太陽光発電などのコストが低下しています。これにより、化石燃料に頼らないエネルギー供給が可能となり、脱炭素化が進むことが期待されます。

また陸上の森林に比べて単位面積あたりの吸収量が2倍以上と言われる海藻などの海洋植物の光合成によって海中に吸収された炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれ、日本の脱炭素の切り札になるかと期待されている。

3.企業の自主的な取り組み

企業は、サステナビリティへの社会的な要求や環境リスクへの対策として、脱炭素化を進めていきます。具体的には、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の改善、循環型社会への移行などが挙げられます。

2022年4月には東京証券取引所の市場再編が行われ、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つへ再編が行われ、新しい上場基準が定められました。その中でも「プライム市場」では、コーポレートガバナンスコードの中で上場企業にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づいた情報開示を求められるようになりました。今まで多くの企業でサステナビリティ報告書や統合報告書の範囲で進めてきたTCFD開示は、有価証券報告書への開示にまで拡大する可能性があります。

4.社会の意識の高まり

気候変動に対する意識が高まり、企業も消費者も環境にやさしい選択をするようになってきています。この傾向は、製品の選択から投資まで多岐にわたり、脱炭素化を後押ししています。

これらの動きは、社会全体の脱炭素化を推進しており、今後もその傾向は強まることが予想されます。

物流領域における脱炭素への課題

物流領域における脱炭素化への課題は多岐にわたります。主な課題としては、道路輸送におけるトラックやバスなどの自動車による排出量の大きさが挙げられます。これらの車両は燃料を使用し、二酸化炭素やその他の温室効果ガスを排出します。脱炭素化には代替燃料や電動化が必要ですが、技術やインフラの整備も課題となっています。 さらに、脱炭素化には高いコストが伴います。新たな技術や車両の導入には資金や投資が必要であり、特に中小規模の物流企業や個人事業者にとっては負担が大きくなります。 これらの課題に対処するためには、技術革新やインフラ整備の推進、資金支援や助成金制度の提供、規制の明確化と適用の柔軟性、産業界と政府の協力など、総合的な取り組みが必要です。

物流領域の二酸化炭素排出量

2020年12月、経済産業省は関係省庁と連携し、脱炭素社会の実現のために「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。 カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出と吸収の合計をプラスマイナスゼロにすることであり、政府はCO2排出量を2030年時点で25%削減、2050年で吸収分も加味して100%削減する目標を掲げています。 2021年度における日本全体のCO2排出量約10.6億トンのうち、運輸部門からの排出量は約1.8億トンであり、17.4%を占めています。 このうち、貨物自動車(トラック)は運輸部門の39.8%を占めており、これは日本全体のCO2排出量の約7%に相当します(※2)。

(※2)引用:運輸部門における二酸化炭素排出量│国土交通省

トラックによるCO2排出量は1996年の1億200万トンをピークに2018年までの約30年間で2500万トン(25%)減少しており、この改善は、トラックの大型化や燃費改善によるトラックメーカー側の努力改善によるものが大きいと考えられます。 一方で、2030年までの目標である、運輸部門でのCO2排出量5000万トンの減少や、2050年でのカーボンニュートラルに向けては、トラックメーカー側の改善(燃費向上・EV化)のみでは達成が困難であるといえるでしょう。 トラック利用者側の取り組みとして、物流の効率化や現状40%程度に留まっている積載効率を改善していくなどの取り組みが必要不可欠です。 「2050年のカーボンニュートラル」の目標達成において、二酸化炭素排出量が多い物流の脱炭素に向けてどれだけ取り組めるか、ということが重要な枠割を担っているといっても過言ではありません。

物流領域の脱炭素への取り組み方

ここでは物流領域が取り組むべきことを3つのステップに分けてご紹介していきます。

STEP1:脱炭素プランの策定

まずは綿密な脱炭素プランを策定しましょう。このプランは、企業のビジョン、目標、そして具体的な行動計画を明確にするための道しるべとなります。 GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)がESGに重きを置いた投資を行うと宣言するなど、投資家からも脱炭素プランの提示圧力が強まっています。 特に上場企業各社は2030年、2050年に向けて、どのようなアクションを取るのかを経営計画として策定し提示することが、まず求められます。

STEP2:脱炭素施策の実行

策定したプランに基づき、各物流領域は、具体的な施策の実行が必要になります。脱炭素に向けて、2014年にトラック運送業界は「新・環境基本行動計画」を策定しました。具体的な施策内容は、以下のとおりです。

モーダルシフト

まず、トラック輸送から、CO2の排出量がトラックより少ない鉄道や船舶を利用した輸送に切り替える「モーダルシフト」があげられます。 モーダルシフトとは、物流の輸送手段を変更することにより、物流の効率化と環境負荷の低減を目指す取り組みを指します。具体的には、環境負荷の高い輸送手段(例えば、トラック)から低い輸送手段(例えば、鉄道や海上輸送)へのシフトを指すことが多いです。 トラック輸送はフレキシブルで、目的地まで直接配送することが可能ですが、大量の貨物を一度に運べる鉄道や船舶に比べて、燃費効率が低く、一貨物当たりのCO2排出量が高いという課題があります。そこで、大量輸送が可能な鉄道や船舶を利用することで、CO2排出量を削減し、エネルギー効率を改善するというのがモーダルシフトの考え方です。 同じ距離で同じ荷物の量を運んだ場合、船舶に切り替えたときのCO2排出量はトラック輸送の約6分の1で、鉄道に切り替えたときは約11分の1に抑えることができるといわれています。 ただし、モーダルシフトは単に輸送手段を変えるだけではなく、全体の物流システムを見直し、物流の効率化を図ることも重要です。物流ルートの最適化、ITの活用による物流情報の共有、貨物の積み替えや集約による輸送効率の改善など、多様な取り組みが求められます。

EVトラックや連結トラックの導入

近年、物流事業者が相次いで取り入れている「EVトラック」も脱炭素に向けた施策のひとつです。 トヨタ、日野、いすゞによる商用トラックの電気自動車(EV)化や水素燃料電池車化(FCV)など脱炭素推進のための提携が大きく注目を集めており、配送車両でEVを採用する企業も増加傾向にあります。 また、EVトラックだけでなく、1台のキャリアで大型車2台分の輸送を行えるダブル連結トラックの導入もCO2排出軽減の効果が見込まれます。

越境配送の排除

越境配送は、本来の配送エリアではない地域に配送するため、必然的に走行距離が長くなり、それに比例してCO2排出量も増加します。越境配送が発生する原因は、在庫管理や拠点配置が大きな影響を与えています。 欠品による遠方の拠点からの配送発生や、市場環境の変化によって、得意先の配置と拠点配置にミスマッチが生じることで、配送距離が長くなってしまうことが要因としてあげられます。拠点の配置を最適にすることで越境配送の発生を最小限に抑え、脱炭素へとつながります。

参考:新・環境基本行動計画│全日本トラック協会

上記以外にも、積載効率向上、トラック待機時間削減、共同配送、輸送ルートの最適化、ロジスティクス・システムの改善などが具体的な施策としてあげられます。 これらの施策を実行することで、物流企業は脱炭素化に向けて貢献し、環境に配慮した運輸を実現することが可能となります。

STEP3:CO2排出量のモニタリング

施策を実行したら実際にCO2排出量を可視化し、物流の各段階でのCO2排出量を正確に計測する必要があります。実行した施策の効果が出ているのかを測定して、それを金額換算する仕組みが必要になります。これには、輸送段階(トラック、列車、船、飛行機など)だけでなく、倉庫や物流センターの運用に関連するエネルギー消費も含まれます。また、使用される輸送手段の種類、貨物の量と距離、車両の種類と年式、燃料の種類など、排出量に影響を及ぼす様々な要素を考慮する必要があります。 取得したデータをもとに、炭素排出のパターンと傾向を分析します。これにより、排出削減の機会を特定し、効果的な脱炭素戦略を策定するための洞察を得ることができます。モニタリングは企業が脱炭素目標に向けての進捗を定期的に評価し、必要な調整を行うための重要なプロセスです。例えば、特定の輸送ルートや施設が目標を達成するのに苦労している場合、戦略の見直しや追加的な投資が必要かもしれません。 以上のように、CO2排出量のモニタリングは、物流領域が脱炭素に向けて進展を達成し、持続可能な未来を築くための重要なステップとなります。

物流領域はCO2の排出量が全産業の中で最も多く、改善は急務です。株式会社Hacobuでは脱炭素に向けて物流において取り組むべきことを詳しくまとめていますのでご参考にしてみてください。

お役立ち資料:物流領域においてが脱炭素実現に向けて取り組むべきこと

Hacobuは物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援いたします。 「物流DXを実現したいが、変革プランが描けない」「DXツールやデータを活用できる人材の育成が進んでいない」など、皆さまのあらゆる物流のお悩みをまずは受け止め、戦略・戦術の両面から最適解を共に探します。物流DXコンサルティングについて詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

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脱炭素に向けて取り組む際のポイント

物流が脱炭素に向けて取り組む際のポイントは以下のようなものがあります。

  • 経営者の意識改革: 経営者が環境負荷低減に向けた取り組みを強くリードし、社員や関係者の意識を高めることが重要です。
  • 経営戦略の見直し: 脱炭素化を経営戦略の一つと位置づけ、社会的・環境的な要請や法令・規制に対応する戦略を策定することが必要です。
  • 組織体制の改善: 環境マネジメントシステムの構築や、環境管理部門の設置、社内の環境負荷を把握するシステムの構築など、組織体制を整備することが必要です。
  • 外部のパートナーシップの活用: 物流企業は、荷主や輸送業者、自治体やNGOなどと連携し、協力して脱炭素化に向けた取り組みを行うことが重要です。
  • 社員の教育・研修の実施: 環境保護に関する知識・技術を身につけ、環境負荷の低減に取り組むための教育・研修を実施することが必要です。

これらのポイントを踏まえ脱炭素化に向けた戦略を策定し、実行していくことが求められています。

三菱倉庫と取り組む実証実験事例

2022年6月より、株式会社Hacobuは三菱倉庫株式会社(本社:東京都中央区、取締役社長:藤倉正夫、以下「三菱倉庫」)とスコープ3(※3)CO2排出量の可視化に向けた実証実験に取り組んでいます。 モデル拠点におけるトライアルを行い、グループ全体に展開していくことを視野に入れている実証実験です。

この取り組みは、三菱倉庫がESG経営/ SDGs対応の一環として、「効率的な輸配送などの実施によるGHG(※4)/CO2削減」 を推進していることがきっかけになりました。 輸配送に伴うスコープ3CO2排出量の可視化は、物流事業者や発荷主・着荷主など多くの企業が関わっているため、難しい領域です。 しかし、多くの企業に利用されているオープンなシステムであるMOVOを活用することで、その課題を克服することができます。 まず、輸配送単位毎のCO2排出量の可視化への取り組みを行い、その実験で得られたデータをもとに輸配送業務のさらなる効率化を目指します。

この実験は、 Hacobuのトラック予約受付サービスMOVO Berth(ムーボ・バース)と配送案件管理サービスMOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)を使用し、三菱倉庫の南本牧営業所(横浜市中区)と茨木第一営業所(大阪府茨木市)で行っています。

参考記事:https://hacobu.jp/news/2756/

(※3)サプライチェーン排出量(事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量)から、スコープ1(事業者自らによる直接排出)とスコープ2(他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出)を除いたもの。事業者の活動に関連する他社からの間接排出。

(※4)Greenhouse Gas(温室効果ガス)の略。

Hacobuが提供するCO2排出量可視化サービス

サプライチェーン全体の最適化を目指してCO2排出量を可視化する、Hacobuのサービス概要は以下の2つです。

トラック予約・受付サービス MOVO Berth(ムーボ・バース)

MOVO Berth(ムーボ・バース)は、サプライチェーンのプレイヤーをつなぐトラック予約受付サービスです。どこにいつ何を届けるかの予約をし、実際に物が届くまでを管理しています。拠点から拠点への移動がデータ化されるため、そこからCO2排出量を算出して可視化することが可能です。トラックの車種によって排出するCO2量にも差が出るため、それも踏まえて算出されます。 CO2排出量の算出方法は、燃費法に基づいて1台毎となり、以下のとおりです。

CO2排出量目安[kg]=((走行目安距離[km]/燃料目安量[km/ℓ]/1,000[㎘/ℓ])×CO2排出量係数[t-CO /kl])×1,000(t /kg)

なお、燃費量[km/ℓ]は設定した車格に応じて、下記の参考値を参照しています。

  • トレーラー/コンテナ:2.62
  • 大型車/10トン以上:2.89
  • 増トン車/5〜9トン:3.38
  • 中型車/4トン:4.58
  • 小型車/2〜3トン:6.19
  • 軽貨物車:9.32
  • その他:3.89

また、CO2排出係数[t-CO /kl]は軽油利用時の排出係数を一律で参照します。 ※走行距離目安、台数が取得できない場合は算定されません。 ※車格が入力されていない場合は、「中型車/4トン」で計算されます。

参考:ロジスティクス分野におけるCO2排出量算出方法共同ガイドラインver3.1│経済産業省・国土交通省

MOVO Berth(ムーボ・バース)の主な機能や、導入事例についてさらに詳しく知りたい方はこちらの資料をご確認ください。

動態管理サービス MOVO Fleet(ムーボ・フリート)

MOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、自社の車両だけでなく協力会社車両も含めて詳細の輸配送の実績データを取得・分析できるサービスです。小さなGPS端末を車両のシガーソケット等に取り付けることで、その車両の輸配送状況をブラウザ上でリアルタイムに可視化することができます。そのデータは蓄積し、配輸送以降にも見返すことができます。走行ルートや輸配送先での滞在時間だけでなく、燃費法にてCO2排出量目安を算定・表示できます。算定するだけでなく、走行ルートの変更や滞在時間の削減を行う具体的なアクションに起こしやすいデータが取得できます。そのため運送会社はもちろん、荷主企業もスコープ3カテゴリ4の削減に取り組むことができます。 MOVO Fleet(ムーボ・フリート)の主な機能や、導入事例についてさらに詳しく知りたい方はこちらの資料をご確認ください。

配送案件管理サービス MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)

MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、これまでアナログで行われていた配送手配業務をデジタル化することで効率化を図るサービスです。 荷主、元請企業、運送会社、傭車先をオンラインでつなぎ、自社・傭車の配車バランスを最適化し、リアルタイムで納品を確認しています。MOVO Vistaにも、荷物の移動距離やトラックの車種などのデータが蓄積されるため、MOVO Berth同様にCO2排出量の可視化ができます。 それによって、業界全体を俯瞰したサプライチェーン、および多重下請け構造も含むすべてを把握することが可能になります。最終的には、物流事業者が荷主に対し、荷物を運んだときに発生するCO2排出量を客観的な情報として提供することが可能になるといえるでしょう。 MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)の主な機能や、導入事例についてさらに詳しく知りたい方はこちらの資料をご確認ください。

まとめ

SDGsへの意識が高まっている近年、企業として脱炭素に向けた取り組みを避けて通ることはできないといっても過言ではありません。2050年に脱炭素化社会を目指すためには、物流領域が一丸となって脱炭素に対して取り組むことが重要です。 従来、荷主は自身が依頼した荷物がどのように運ばれているのかという情報はほとんど把握していませんでした。そのため、 CO2排出量を算出する手段は「自社の工場や物流の拠点から地域まで」というアバウトな情報からでした。しかし、「MOVO Berth」や「MOVO Fleet」、「MOVO Vista」を導入することによって、実測に近い正確なデータを把握することが可能となります。さらにそれらを踏まえた上で、いかに効率化を図りCO2を軽減できるかといった、具体的な目標設定と施策を講じることも可能です。

しかし、これまでアナログで業務を行なっていた現場に対して、システムを導入していくということは、日々のオペレーションを回しながら運用を変えていくという難しさもあります。そこで、株式会社Hacobuでは導入してからの運用ルールや業務フローの変更をスムーズに実施するために、カスタマーサクセス部隊を設置しています。

また「物流DXを実現したいが、変革プランが描けない」「DXツールやデータを活用できる人材の育成が進んでいない」など、皆さまのあらゆる物流のお悩みをまずは受け止め、戦略・戦術の両面から最適解を共に探します。物流DXコンサルティングについて詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

Hacobuの物流DXコンサルティング

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