物流のキホン
在庫コストの削減方法
在庫コストを削減するポイントは、「不必要な商品を保管しない」「市場が必要とする商品だけを、必要とする場所に、必…
物流のキホン
目次
日本ロジスティクスシステム協会の2020年度物流コスト調査によると、2020年度の売上高物流コスト比率は5.38%と前年度からの増加幅は0.47ポイントとなりました。
近年、ドライバーや庫内作業員などの労働力不足を背景とした物流事業者からの値上げ要請により上昇基調が続いていましたが、2020年度は直近20年間と比較しても過去20年間の中で2番目に高い数字となっています。
特にドライバー不足は今後深刻化すると予想されるため、物流事業者からの値上げ要請については今後も続く傾向にあると言えるでしょう。
物流コストは2つに大別されます。企業自らが行っている「自家物流」と、物流事業者に委託している「委託物流」です。
そして、機能で分けると、輸送費、保管費、荷役費、包装・梱包費、物流管理費(物流管理人件費)の6つの費目に分けることができます、
物流コスト削減を考える際に、まず着目すべきは費目です。費目に着目した上でどのような施策が打てるのか考えます。一般的に行われている施策についてご紹介いたします。
輸送費とは、トラックなどによる輸送コストです。入荷側、出荷側、社内転送などの車両の費用が含まれます。これは物流に関わるコストの約60%を占めると言われ、企業の利益に影響を与えやすい費目です。
輸送において最重要なのは安全性です。事故等に伴うコストを抑制することは担当者が最初に取り組むべきです。自動車運送事業にかかわる重大事故は、半数以上がドライバー起因であり、具体的には「運転操作不良(運転ミスや危険運転など)」や「健康状態」「積載物」などです。事故を発生させないために予防措置の導入、監視を検討する必要があります。
既存の配送ルート、配車を見直していくことでトータルの車両数/運行数距離の削減を図ります。実際の運行ルートは運送会社任せになっていることが多いですが、荷主としてもチェックしていくべきでしょう。
簡単にいうと、トラックに荷物が満載に近づくように積載することです。トラックの積載率は直近では約40%まで低下していると言われています。フル積載になるように車両をコントロールするのが基本です。計画精度の向上、車格の調整、マテリアルハンドリング機器の標準化なども検討の余地があります。
A地点からB地点に運ぶ積載率は高くても、B地点からA地点に戻る際の積載率が低いことがあります。片道運行契約への切り替えや共同配送の取り組みを検討し、空で走る距離をいかに縮めるかを検討します。
運行状況や遅延確認などの実績把握によって、最適なルートであったかを検証し、今後の計画に活用します。
倉庫、物流センターなどにモノを保管するコスト。賃借料、保管料などで構成されます。
物流倉庫、物流センターの保管効率を高めるにはムダなスペースの削減を第一に検討します。需要は時とともに変化していきます。それに最適な保管という視点で見直しを図ってください。
在庫を削減することで保管場所や維持経費の削減が可能になります。在庫削減のためには様々な手法がありますが、正しく需要を予測し、振れ幅を抑えることで、在庫基準値を下げることが基本的な手法です。また、長期滞留在庫、不動在庫の排除という視点も重要です。
繁閑のリスクを回避することを目的に、外部倉庫を活用して保管費を変動費化してくことも手段のひとつです。繁忙期においては外部倉庫を一時的に利用し変動費化を図ることでコストダウンを狙います。
倉庫や物流センターでの入出荷、ピッキング、在庫管理などの人件費です。
人の手による作業が大きな割合を占めるため、改善の余地が多く残されている場合があります。オペレーションを見直すことで効率化、ミスを低減することができます。例えば、動線の最小化、アイテムロケーションの見直し、ピッキング動作の見直しなどで効率化の効果を期待できます。
パレット化を進めれば荷役の効率化が図れます。パレット導入のコストと荷役のコストを比較して導入の判断をします。パレット輸送をする場合には、積載効率が落ちると懸念する方もいらっしゃいますが、バラ積みと比べた場合のバース回転率が上ることによる庫内の入出荷能力の上昇、ドライバーの作業時間の短縮効果などを荷役コスト削減に加味して検討するべきでしょう。
荷役作業の効率化や省人化のために歩行動線等を見直します。またマテリアルハンドリング機器は、フォークリフトや台車、パレット、コンベア、搬送用ロボット、ソーター、ピッキングシステム、自動倉庫など多岐にわたり、それらの導入によっても生産性を高めることは可能です。
日々の作業量が大きく変動すると、人員手配が非常に難しくなります。結果として過度な残業や過剰人員が発生し、無駄が起こります。平準化によって安定した人員確保を可能にすることで、コスト削減が期待できます。
また、1日の中で特定の時間帯に入出荷トラックが集中すると荷役作業の集中、フォークリフトの交錯などが発生し、業務が非効率になるという問題も発生します。入出荷時間を平準化することで、これを回避することができます。
各人の生産性をモニターし、平均値と比較することで改善ポイントを洗い出します。また、各人の生産性を把握することで行程別のパフォーマンスを整え、庫内の入出荷能力の最大化を図ることが可能になります。
容器や包装、ダンボールやひもなどの梱包資材にかかる荷造材料費などのコストです。包装費は物流費の中で最も割合が低いですが、必然的に発生する消耗材のため、軽視はできません。見直し次第で資材購入費、作業費の抑制ができることがあります。
基本的には資材の購入は大量発注の方がコストを抑えられます。多品目になると1品あたりの購入量が少なくなるのでコスト高になる傾向があります。品目を減らすことができないか検討しましょう。
梱包資材コストだけではなく、物流コストを下げるために包装・梱包資材の設計を改めます。大きな成果を出した例としてはティッシュボックスの体積を抑えたことで物流コストが下がった事例があります。
入出庫や伝票発行業務などの作業に携わる人件費を指します。
物流管理に特化したシステムの導入により、物流管理の人件費を削減できます。昨今のDXではそれらの導入により、物流の見える化が大きく進む事例が増えていますので、ご検討ください。
流通資材やマテリアルハンドリング機器の管理を徹底することで、管理人件費を削減することができます。
庫内の単純作業のラインや、季節や時間の波動対応には契約社員・パートなどを適材適所に配置します。
上記に挙げた基本的な物流コスト削減方法以外の、「応用編」も含めたコスト削減方法ついては、以下の資料をダウンロードください。
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