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物流ABCを有効活用するには?メリットやデメリット・算出方法などを解説

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物流コストを削減するには、実際にどのくらいのコストがかかっているのかを正確に把握することが大切です。物流ABCは、活動ごとにコストを把握できるため、物流コストの見直しに役立てられる可能性があると言われています。本記事では、物流ABCとは何か、メリットやデメリット、算出方法、有効活用する方法などを解説していきます。ぜひ参考にしてください。

物流ABC(活動基準原価計算)とは何か

物流ABC(活動基準原価計算)とはどういった意味を持つのか、何ができるのかについて以下で解説をします。

物流ABCとは

物流ABC(Activity Based Costing)「活動基準原価計算」とは、活動ごとに物流コストを管理する方法のことを言います。一つの活動ごとに発生するコストを把握できるため、コスト削減につながる原因がわかるようになり、コスト管理方法として注目されています。

また、物流コストがわかるようになることで、コスト発生源を突き止められるので、責任を負う部署がどこなのかが明確になります。

物流ABCでわかること

物流ABCは商品、顧客、作業ごとに分けてコストを算出するため、どこでどのくらいのコストが発生しているのかわかります。従来では、物流コストは運送会社への支払い運賃がいくらかかるのかという投入要素別での原価計算をしていました。

そのため、コストを削減しようと思えば、交渉を運送会社にすることしかできませんでした。物流ABCでは、商品ごとに作業別のコストがわかり、改善すべきポイントがわかりやすくなりました。

物流ABCのメリット

物流ABCのメリットにはどういった点があるのでしょうか。以下にていくつかのメリットについて解説をします。

コストに見合った価格設定ができる

商品ごとにかかるコストが細かくわかるようになるために、コストに見合った価格設定が可能です。例えば、商品に使用する接着剤や設備の光熱費、燃料費用なども出せるため、間接費用がわかります。また、何が高い利益を出しているかわかるようになるため、利益を見込める商品に注力することもできます。

施策の効果を把握しやすい

定期的に分析することにより、コスト削減や作業工程の効率化などの施策を行ったあと、どのくらいの効果が出ているのか測定が可能です。また、施策を行った後の結果を可視化することができるため、効果があったかどうかを確認しやすく、施策を見直すべきか判断ができる点もメリットと言えます。

物流ABCのデメリット

物流ABCのメリットだけではなく、デメリットにはどういった点があるのでしょうか。以下で詳しく解説をします。

データ収集が負担になる

データを細かく集めるほど正確な計算結果を算出できますが、データを集めるのに手間や時間がかかることがデメリットと言えます。まず、工程を分けてデータを集めるため、工程を分ける作業から必要となる時点で作業負担が増えます。また、データ収集が作業スタッフの負担になる可能性がある点にも注意をしなければなりません。

計算結果だけでは判断できない

物流ABCを算出した結果、間接費が高かったとしても、その活動が必ずしも無駄とは限りません。間接費用は、固定ではなく流動的なものもあるために、正確に出せていると思い込むのは要注意です。計算結果だけでなく、ほかの要素も考慮したうえで見直しが必要かどうか判断する必要があります。

物流ABCを算出する方法

物流ABCを算出するにはどういった方法があるのでしょうか。以下で解説をします。

物流ABCの算出目的を明確にする

物流ABCを算出する前に、人件費の削減や在庫管理など、目的を明確にしましょう。なぜなら、目的によって調査対象や分類種別、分析方法、分析精度などが変わってしまうからです。

例えば、作業を効率化させようとして、在庫管理を改善しようとするのであれば、在庫商品が余剰になっているか、圧縮するか、などを確認する必要があります。

作業内容を洗い出す

作業内容を全て洗い出しましょう。物流に関わる施設内で、必要となる作業は何なのか、何を行うとよいのか、を設定していきます。例えば、荷受け、検品、棚入れ、ピッキングなど作業を分類します。そして、分類した作業ごとに物流ABCを算出していきます。マニュアルにのせる前提で洗い出すとよいでしょう。

作業内容ごとに原価を計算する

作業内容ごとに原価がいくらかかっているのかを計算していきます。例えば、商品の積み込みや商品の保管など、作業ごとに人員や作業時間などを分析してコストを計算します。物流には出荷する作業だけでも多くの作業が関わっています。ピッキングや検品、梱包、荷札つけなどが該当します。どのくらいの経費がかかっているのかを明確にしていきます。

作業内容ごとの処理量を把握する

作業内容ごとの処理量を把握していきます。処理量を集計するには、現場での測定が必要になることもあります。また処理量は作業ごとに異なり、どこまでを処理量としてみなすのかも決めなければなりません。また、作業ごとのコストが、何に関係して増減しているのかを見極めることがポイントです。

作業内容ごとに単価を算出する

作業内容と処理量を把握したら、「作業内容の原価÷処理量」で作業内容ごとに単価を算出します。「作業内容ごとの単価×目的別の処理量」で目的別のコストがわかります。ここまできたら、物流ABCの計算が可能です。0から行うと時間がかかるかもしれませんが、コストを決めるための大事な作業であり、改善のためには必要なことです。

物流ABCの計算事例を解説

物流ABCの計算はどういった方法があるのでしょうか。計算事例を見せながら解説をします。

梱包1口あたりの原価を計算する

梱包1口あたりの原価計算をする方法は以下の通りです。

【条件】
・1カ月あたりの総人件費: 1,500 万円
・1カ月あたりの総作業時間: 15,000 分
・1カ月あたりの梱包作業時間: 1,000 分
・1カ月あたりの梱包口数: 10,000個
・1分あたりの人件費を求める場合
→総人件費÷総作業時間=1,500万円÷15,000分=1,000円
・梱包作業にかかる総人件費を求める
→梱包作業時間×人件費(分レート)=1,000分×1,000円=100万円
・梱包1口あたりの原価を求める
→梱包に係る総人件費÷梱包口数=100万円÷10,000個=100円

荷主ごとの入荷検品コストを計算する

入荷検品コストを計算する方法は以下の通りです。

【条件】
・1ケースあたりの入荷検品コスト:10円
・荷主A向けに100ケース処理した場合にかかるコスト
→100×10=1,000円
・荷主B向けに200ケース処理した場合にかかるコスト
→200×10=2,000円

上記の例のように1ケースあたりの入荷検品コストがわかれば、処理量に応じたコストが簡単に計算可能です。

物流ABCを有効活用するには

コストを算出するだけでなく、物流ABCを有効活用していくにはどうすればよいのでしょうか。以下にていくつか活用方法を解説します。

必要な作業と不要な作業に分ける

物流ABCで明らかになった作業状況をもとにして、必要な作業と不要な作業に分けることで作業効率の向上が見込めます。不要な作業に関してはカットしたり、作業状況が非効率な場合には自動化を検討したりしましょう。

アウトソーシングを活用する方法も有効です。業界の知識が必要とされる、現場の人で判断しなければならない、自社で管理したい、などの意向がなければ、外部委託も考えてみるとよいでしょう。

コスト削減の方法を検討する

部門ごとのコストが明確になるため、それぞれの部門で可能なコスト削減の方法を検討できます。従来では、漠然と運送会社に対してコストカットを望んでいたものが、物流ABCによって、どこの費用が高いのかがわかることで、交渉対象が増えます。

経験がなく自社で解決しきれない場合には、分類した内容をプロのコンサルティング会社や専門家に見てもらい、第三者目線で不要かどうか判断してもらう方法もあります。

まとめ

物流ABCによって、コスト削減や無駄な作業が減ることは物流事業にとってとても大切なことでしょう。従来のアナログな方法では管理が難しかったかもしれませんが、現代ではITツールの普及により、より簡単に数値の算出や管理が可能となっています。

また、自社でできない場合には、すでにノウハウのある外部業者へ依頼して解決もできるため、自社で物流ABCが使えるのか、一度検討してみるのもよいかもしれません。

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